佐藤智子(2)

白からの脱却を計って、作品に色彩が戻ってきたのは、
2005年の第3回爽光会展(※)あたりからですね。
でも、まだ当時は「無理矢理に色を使ってみている」という感じ(笑)。

このころは何年も模索が続いています。

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「呉越同舟」では、第2回の「境界の展覧会」(2003年)で
前年の白っぽい作品とは正反対に、真っ黒な屋久杉を描きました。
でも、日展や光風会展に出品するのは、いつもの白い群像。
2005年に、今度は祖母をすごく黒っぽい画面で描いてみたのに、
その2カ月前には、白い背景に白い衣装で女性を描いていたり。

当時は、上手に描けるように早くなりたい、上品な絵を創りたい、
という気持ちがすごく強かったんです。
それに表現のなかで、
肉体を持つ存在としての「私」という存在を
残したくないという気持ちがありました。
人物が描かれていても、
その肉体を感じさせないもの、というのかな、
どんどん削ぎ落としていって、最後に残った、
その人の存在の純化したものを描きたい、と思っていたんです。

転機になったのは、第92回光風会展(2006年)で
光風会会員賞をいただくことができた『零に立つ』です。
荒削りな作品なんですが、
肉体を持つ私がそこにいるということを
ちゃんと表現できている絵だと、いま振り返っても思います。

清原(啓一)先生(光風会常務理事)に、
それまでよく「何が言いたい絵なのか伝わってこない」と
言われていた理由が、やっとわかった気がしています。
私が上手く、品よく、美しくまとめようとして、やってきたことは、
実は独りよがりで終わっていたんだなあ、と。

(続きます)


※爽光会展:光風会の若手作家によるグループ展。2003年〜2005年の毎年8月に、日本橋三越本店で開催された。グループ8のOBである石田宗之さんも3年連続で出展。

構成/中原順子
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by group_eight | 2008-05-09 07:28 | 8 interviews


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